雇止めだから解雇予告手当は支払わない…と言われた場合の対処法

①「有期労働契約が3回以上更新されている労働者」が解雇予告手当の支払いを請求する場合の通知書

甲 株式会社

代表取締役 ○○ ○○ 殿

解雇予告手当の支払いを求める請求書

私は、〇年8月31日、貴社から同日付で有期労働契約の契約期間が満了すること、また契約の更新をしない旨の告知を受け、同日付で貴社から期間満了を理由に労働契約を解除されましたが、この雇止め(以下「本件雇い止め」という)に関し、貴社からは労働基準法第20条所定の平均賃金(いわゆる「解雇予告手当」)の支払いが行われておりません。

この解雇予告手当の未払いについて貴社からは、解雇ではなく雇止めの場合には労働基準法第20条の適用はないので違法ではない旨の説明を受けておりますが、厚生労働省の労働基準法第14条2項に基づく告示「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について」(以下「労基法14条2項に基づく告示」という」という)は「有期労働契約が3回以上更新されている労働者」を雇止めする場合には、労働基準法第20条に従い、契約期間が満了する30日前に雇止めの予告を行うか、30日前の予告期間に満たない日数分の平均賃金を労働者に支払うことを使用者に義務付けています。

この点、私と貴社との間で締結された契約期間を2か月間、その始期を〇年1月1日とする有期労働契約は、最初の契約が満了する2月28日、2回目の契約が満了する4月30日、3回目の契約が満了する6月30日までにそれぞれ更新され、4回目の契約が満了する8月31日に本件雇い止めがなされるまで都合3回の更新がなされていますから、本件雇い止めは「有期労働契約が3回以上更新されている労働者が雇止めされる場合」に該当していると言えます。

そうであれば、労基法14条2項に基づく告示に基づいて、貴社は本件雇い止めを行う際、労働基準法第20条に基づいて、30日前までに雇止めの事前予告を行うか、30日前までの事前予告を行わない場合には、30日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりませんが、貴社はその事前予告も解雇予告手当の支払いもないまま、本件雇い止めを行っています。

したがって、貴社が解雇予告手当の支払いもないまま行った本件雇い止めは、労基法14条2項に基づく告示および労働基準法第20条に違反する違法なものと言えますから、たちに本件雇い止めの際に本来支払われるべきであった30日分の平均賃金を支払うよう、請求いたします。

以上

〇年〇月〇日

〇県〇市〇町〇丁目〇番〇号○○マンション〇号室

○○ ○○ ㊞

※会社に送付する前に証拠として残すため必ずコピーを取っておくようにしてください。また、郵送する場合は相手方に「到達した」という客観的証拠を残しておく必要がありますので、普通郵便ではなく特定記録郵便などの郵送方法を用いて郵送してください。

②「1 年以下の契約期間の労働契約が更新または反復更新され、 最初に労働契約を締結してから継続して通算 1 年を超える労働者」が解雇予告手当の支払いを請求する場合の通知書

甲 株式会社

代表取締役 ○○ ○○ 殿

解雇予告手当の支払いを求める請求書

私は、02年6月30日、貴社から同日付で有期労働契約の契約期間が満了すること、また契約の更新をしない旨の告知を受け、同日付で貴社から期間満了を理由に労働契約を解除されましたが、この雇止め(以下「本件雇い止め」という)に関し、貴社からは労働基準法第20条所定の平均賃金(いわゆる「解雇予告手当」)の支払いが行われておりません。

この解雇予告手当の未払いについて貴社からは、解雇ではなく雇止めの場合には労働基準法第20条の適用はないので違法ではない旨の説明を受けておりますが、厚生労働省の労働基準法第14条2項に基づく告示「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について」(以下「労基法14条2項に基づく告示」という」という)は「1 年以下の契約期間の労働契約が更新または反復更新され、 最初に労働契約を締結してから継続して通算 1 年を超える労働者」を雇止めする場合には、労働基準法第20条に従い、契約期間が満了する30日前に雇止めの予告を行うか、30日前の予告期間に満たない日数分の平均賃金を労働者に支払うことを使用者に義務付けています。

この点、私と貴社との間で締結された契約期間を6か月間、その始期を01年1月1日とする有期労働契約は、最初の契約が満了する同年6月30日、2回目の契約が満了する同年12月31日までにそれぞれ更新されており、3回目の契約が満了する02年6月30日に本件雇い止めがなされるまでの通算期間が1年を超えていますから、本件雇い止めは「1 年以下の契約期間の労働契約が更新または反復更新され、 最初に労働契約を締結してから継続して通算 1 年を超える労働者が雇止めされる場合」に該当していると言えます。

そうであれば…(以下、①と同じ)

③「1 年を超える有期労働契約の労働者」が解雇予告手当の支払いを請求する場合の通知書

甲 株式会社

代表取締役 ○○ ○○ 殿

解雇予告手当の支払いを求める請求書

私は、02年12月31日、貴社から同日付で有期労働契約の契約期間が満了すること、また契約の更新をしない旨の告知を受け、同日付で貴社から期間満了を理由に労働契約を解除されましたが、この雇止め(以下「本件雇い止め」という)に関し、貴社からは労働基準法第20条所定の平均賃金(いわゆる「解雇予告手当」)の支払いが行われておりません。

この解雇予告手当の未払いについて貴社からは、解雇ではなく雇止めの場合には労働基準法第20条の適用はないので違法ではない旨の説明を受けておりますが、厚生労働省の労働基準法第14条2項に基づく告示「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について」(以下「労基法14条2項に基づく告示」という」という)は「1 年を超える有期労働契約の労働者」を雇止めする場合には、労働基準法第20条に従い、契約期間が満了する30日前に雇止めの予告を行うか、30日前の予告期間に満たない日数分の平均賃金を労働者に支払うことを使用者に義務付けています。

この点、私と貴社との間で締結された有期労働契約は契約期間を2年間とするものであり、その契約期間は「1年を超え」ていますから、本件雇い止めは労基法14条2項に基づく告示に挙げられた「1 年を超える有期労働契約の労働者が雇止めされる場合」に該当していると言えます。

そうであれば…(以下、①と同じ)

(2)労働基準監督署に違法行為の申告を行う

上記の通知書を送付しても会社が解雇予告手当の支払いに応じない場合、また行政機関の介入を促すことで迅速に解決を図りたい場合には、労働基準監督署に違法行為の申告を行うというのも一つの対処法として有効です。

有期契約の「雇止め」でも解雇予告手当を請求できる3つのケース』のページで詳しく解説したように、 前述した①~③に該当する有期労働契約の雇止めの場合、使用者は厚生労働省の告示と労働基準法第20条に基づいて、雇止めする労働者に対して30日前の雇止めの予告を行うか30日に不足する日数分の平均賃金を解雇予告手当として支払わなければなりませんから、それをせずに雇止めしたというのであれば、その使用者は労働基準法第20条に違反しているということになります。

この点、労働基準法第104条は使用者に労働基準法違反行為があった場合に労働者に労働基準監督署への違法行為の申告を行うことを認めていますから、労働者が労働基準監督署に申告を行うことで監督署からの調査や指導を促すことで間接的に解雇予告手当の支払いを実現させることが可能な場合はあると言えます。

ただし、監督署はあくまでも使用者の労働基準法違反を指導するだけで労働者に代わって未払いになっている解雇予告手当を回収するわけではありませんから、使用者が監督署の指導に従わない場合には他の対処法を考えなければなりませんのでその点には注意が必要です。