退職届(退職願)の撤回ができる場合とできない場合

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退職届(退職願)を提出して退職の意思表示をしてはみたものの「やっぱり止めとけばよかった」と後悔して退職を取り消したい場合があります。

そのような場合、会社に対して退職届の撤回を求めることができるのでしょうか?

また、会社が退職の撤回に応じない場合、具体的にどのように対処すれば会社を辞めずに済むのでしょうか?

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退職届(退職願)を撤回できるかは、それが「辞職」を意味するか「合意解約の申入れ」を意味するかで異なる

退職届(退職願)の撤回が認められるかという点については法律学的にも争いがありますが、過去の最高裁や下級審の裁判例では、労働者が行った退職の意思表示が「辞職」と評価できる場合には退職の意思表示の撤回を認めない一方、その退職の意思表示が「合意解約の申入れ」と評価される場合は退職の意思表示を一定の範囲で許容する判断が採られています。

・退職届(退職願)が「辞職」と評価される場合
→ 退職届(退職願)の撤回を認めない
・退職届(退職願)が「合意解約の申入れ」と評価される場合
→ 退職届(退職願)の撤回を一定の範囲で認める

これは、退職の意思表示が「辞職」と判断される場合と「合意解約の申入れ」と評価される場合とで、それぞれ退職を申し入れた労働者とそれを受け取った使用者の合理的な意思解釈が異なると考えられるからです。

(1)退職の意思表示が「辞職」と評価される場合は退職を撤回できない

退職の意思表示が「辞職」と評価できる場合とは、その退職の意思表示が「一方的な雇用契約の解約の意思の通告」と評価できるような場合をいいます。

労働者が退職する場合、あえて使用者(雇い主)側とケンカして辞めようと考えるのは稀で、退職の申入れを行い「会社側の承諾が得られた時点で退職しようと」考えて円満退社を心掛けるのが一般的ですから、「一方的な雇用契約の解約の意思の通告」となるような意思表示を行って退職する人はほとんどいないのが普通です。

もちろん、労働者には法律で「退職の自由」が認められており(民法627条,同628条,労働基準法137条)、「強制労働の禁止(労働基準法5条)」も保障されていますから、使用者(雇い主)側の承諾がなくても退職することは可能です。

この点についての詳しい解説は→ 辞めさせてくれない会社の正しい辞め方

しかし、通常はほとんどの労働者が”円満退社”を心掛けて退職しますので、普通は「一方的な雇用契約の解約の意思の通告」をして辞めるようなことはせず、「使用者(雇い主)側の承諾が得られたうえで退職しよう」と「退職の申し入れ」を行うわけです。

もっとも、何らかの事情があって「会社の承諾がなくても絶対に辞める!」と決意して退職する場合は必ずしも”円満退社”を心掛けるわけでもありませんから、場合によっては「一方的な雇用契約の解約の意思の通告」と受け取ることができる意思表示をもって退職を申し入れる労働者も存在します。

この点、そのように「一方的な雇用契約の解約の意思の通告」と受け取れる退職の意思表示を行った労働者については、その意思表示が使用者(雇い主)に到達した時点で「退職」の効果を認め、それ以後の撤回を制限しても当事者間の意思に反することはありません。

なぜなら、そのような意思表示を行った労働者は「確実に辞める」と決意していることが推定できるわけですから、そのような「一方的な雇用契約の解約の意思の通告」と評価できる退職の意思表示を行った労働者の退職を認めなくても、労働者にとって不利益とはならないからです。

そのため、裁判所の判断では退職の意思表示が「辞職(一方的な雇用契約の解約の意思の通告)」と評価できる場合には、それが使用者に到達した時点以降の退職の撤回を認めないことにしているわけです。

ただし、その退職の意思表示が会社側に騙されたり脅迫されたりして行ったものであったり錯誤(勘違い)によるものである場合には、退職の意思表示が「辞職」と評価される場合であっても、取り消したり無効を主張したりすることが可能です。
→ 辞める気がないのに出した退職願は撤回できるか?
→ 無理やり書かせられた退職届は取り消しできるか
→ 騙されて提出した退職届を撤回または取り消しできるか?

(2)退職の意思表示が「合意解約の申入れ」と評価される場合は「使用者の承諾がなされる前」なら退職を撤回できる

一方、労働者の退職の意思表示が「合意解約の申入れ」と評価できる場合は結論が逆になります。

なぜなら、労働者の退職に関する意思表示が「合意解約の申入れ」と評価される場合にその退職の撤回を制限してしまった場合、その制限は当事者間の意思に反することになってしまうからです。

労働者が円満退社を求めて使用者(雇い主)側に退職の意思表示を行っている場合には「会社の承諾がなくても絶対に辞める!」と決意して退職の意思表示をしているわけではなく、「会社側の承諾が得られた時点で退職しようと」考えるのが一般的です。

そうすると、そのようなケースでは、労働者は使用者(雇い主)における受理権限のある者に退職の意思表示が到達し、その受理権限のある者から退職の承諾が得られた時点で退職の効果が発生すると考えるのが当事者間の意思解釈として合理的でしょう。

そうであれば、労働者が「合意解約の申入れ」と評価される退職の意思表示をしている場合には、それに対して使用者が「承諾を与える前」に退職の撤回を認めても、その退職の撤回は退職する労使双方においても当事者間の意思に反することにはなりません。

そのため、裁判所の判断では、退職の意思表示が「合意解約の申入れ」と評価できる場合には、それに対して使用者が「承諾を与える前」であれば、労働者からの一方的な退職の撤回を認めることにしているわけです。

【参考判例】
昭和自動車事件(昭和58年8月9日)労判318号61頁、大隈鐵工所事件(最高裁昭和62年9月18日)労判504号6頁、全自交広島タクシー支部事件(広島地裁昭和60年4月25日)労判487号81頁、白頭学院事件(大阪地裁平成9年8月29日)労判725号40頁、など。

「使用者の同意を得なくても辞めるとの強い意志を有していた」場合を除き「合意解約の申入れ」と評価される

以上で説明したように、退職の意思表示が「辞職」と評価される場合には労働者による一方的な退職の撤回は認められませんが、「合意解約の申入れ」と評価される場合にはそれに対して使用者が「承諾を与える前」であれば労働者による一方的な退職の撤回も認められることになります。

では、その退職の意思表示が具体的にどのようなものである場合に「合意解約の申入れ」と判断されるのでしょうか?

退職の意思表示が「合意解約の申入れ」と判断される場合はその意思表示に対して「使用者が承諾を与える前」であれば労働者の側から一方的にその退職を撤回することができますが、「辞職」と判断される場合は使用者(雇い主)側の承諾がなければ撤回できなくなってしまうため問題となります。

この点、前に挙げた過去の裁判例では、労働者が行った退職の意思表示が「労働者が使用者の同意を得なくても辞めるとの強い意志を有している場合を除き、合意解約の申入れと解するのが相当…(全自交広島タクシー支部事件:広島地裁昭和60年4月25日労判487号81頁)」と判断していますので、退職の意思表示が「合意解約の申入れ」と評価されるか「辞職」と評価されるかは、もっぱら労働者と使用者(雇い主)との間で取り交わされた言動や退職に至るまでの経緯を総合的に検討し、個別のケースに応じて判断されることになります。

もっとも、先ほども述べたように、一般的な労働者のほとんどは退職しようとする際に使用者と揉めた状態で退職するのではなく、使用者と良好な関係を保ったままで退職する”円満退社”を望むのが通常ですから、労働者が退職を申し出た場合は基本的に「合意解約の申入れ」と評価されるのが基本で、退職の撤回を使用者(雇い主)側が争う場合に、使用者側から特に「使用者の同意を得なくても止めるとの強い意志を有していた」という証拠が提出された場合に限って、その退職の意思表示が「辞職」と評価される余地が出てくるにすぎないものと解されます。

ですから、「退職します」と上司に告知した場合であったり、退職届や退職願を作成して会社に提出しただけであるように一般的な労働者の退職の意思表示がなされたようなケースでは、その退職の意思表示は労働者の方で無条件に一方的に撤回できると考えて差し支えないものと思われます。

なお、具体的に退職の意思表示が「辞職」と判断された裁判例については手元の資料に挙げられていないので名言は避けますが、気を付けてもらいたいのが「辞職」という文言にとらわれてはならないという点です。

なぜなら、仮に退職の意思表示を申し入れるために会社に差し入れた書類が「辞職届」や「辞職願」と記載されていたとしても、それを根拠にその退職の意思表示が「辞職」と判断されるわけではないからです。

前に挙げた裁判例では、あくまでも労働者が行った「退職の意思表示」が「労働者が使用者の同意を得なくても辞めるとの強い意志を有している場合を除き…(全自交広島タクシー支部事件:広島地裁昭和60年4月25日労判487号81頁)」その退職の意思表示は「合意解約の申入れ」と解釈するのが相当だと判断されているにすぎません。

ですから、仮に労働者が会社に提出した退職の意思表示に関する書面が「辞職届」や「辞職願」と表題されていたとしても、その労働者におけるその他の言動や退職に至るまでの経緯を総合的に判断してその労働者が「会社の同意がなくても辞めるとの強い意志を有している」と判断されない場合には、その提出した書面は「辞職」の意思表示とは評価されないことになります。

退職の意思表示が「辞職」と評価されなければたとえ「辞職届」や「辞職願」と表題された書面を会社に提出したとしても、先ほど説明したように、それは「合意解約の申入れ」と判断されることになりますから、会社側からその退職の意思表示に対して「承諾が与えられる前」であれば労働者の方で一方的に退職の撤回をすることができるということになるのです。

これは、退職の意思表示を申し入れる書面に「退職届」と表題するか「退職願」と表題するか、またはその書面の本文に「〇月〇日をもって退職いたします」と記載するか「〇月〇日をもって退職させてください」と記載するか、あるいは口頭で「今月いっぱいで退職します」と告知するか「今月いっぱいで退職できるよう取り計らってください」と告知するか等の場合でも変わりません。

たとえ表題が「退職届」と記載された書面を提出したとしても、その他の言動や退職に至るまでの経緯等によって「会社の同意がなくても辞めるとの強い意志を有していなかった」と判断されればその書面は「辞職」の意思表示とは評価されませんので「合意解約の申入れ」と評価されて会社側の承諾がなされるまでは撤回が可能ですし、その反対に仮に「退職願」と表題した書面を提出した場合であっても、その他の言動や退職に至るまでの経緯等に「会社の同意がなくても辞めるとの強い意志を有していた」と判断できる事実があるような場合は、その「退職願」は「辞職」の意思表示と評価され退職の撤回は一切認められないことになるでしょう。

また、たとえ「〇月〇日をもって退職します」と退職を断言する文言があったとしても、その他の言動や退職に至るまでの経緯から「会社の同意がなくても辞めるとの強い意志を有していなかった」と判断されればその意思表示は「辞職」ではなく「合意解約の申入れ」と評価され、会社の承諾があるまでは労働者の一方的な意思表示で撤回することができる反面、たとえ「~までに退職させてください」とか「退職できるようお取り計らいください」と会社側に「お願い」する趣旨の退職の意思表示を行っていたとしても、その他の言動や退職に至るまでの経緯から「会社の同意がなくても辞めるとの強い意志を有していた」と判断される場合には、労働者からの一方的な退職の撤回は認められず会社側の承諾がない限り退職の撤回は認められないことになるものと考えられます。

このように退職の意思表示が「合意解約の申入れ」と評価されるかあるいは「辞職」と評価されるかは、「退職届」や「退職願」などといった書類や言動の文言によるのではなく「使用者の同意がなくても辞めるとの強い意志を有していたか否か」という点で判断されますので、「”退職届”と記載して提出したから退職は撤回できない」とか「”〇月〇日をもって退職します”と記載したから退職は撤回できない」などと短絡的に判断しないように注意が必要といえます。

退職の意思表示が「合意解約の申入れ」と評価される場合に「使用者の承諾」があったと判断されるケース

以上で説明したように、退職届(退職願)を提出するなどして退職の意思表示を行った場合であっても、その退職の意思表示が「辞職」ではなく「合意解約の申入れ」と評価される場合には使用者側からの「承諾」がなされるまでの間は労働者の意思で一方的に退職の撤回をすることができるということになります。

この点、具体的にどのような事実があれば「使用者からの承諾があった」と判断されるのかが問題となりますが、過去の裁判例では労働者の退職に関して承諾権限のある者がその退職の意思表示を受領した場合には「使用者からの承諾があった」と判断する傾向にあります。

(ア)退職の承諾決定権のある役職者等が受領した時点で「使用者からの承諾があった」と判断される

たとえば、労働者から提出された退職願を人事部長が受け取った事案(大隈鐵工所事件:最高裁昭和62年9月18日労判504号6頁)では、その人事部長が退職の承認決定権があったものと認定されたことから、その人事部長が退職願を受け取った時点で労働者の退職の意思表示に「会社側の承諾があった」と判断されて、労働者の退職の撤回が否定されています。

一方、退職願を受け取ったのが常務取締役観光部長であった事案(岡山電気軌道事件:岡山地裁平成3年11月19日労判613号70頁)では、その常務取締役観光部長に退職の承諾決定権が認められないと判断され労働者の退職の撤回が容認されています。

このように、退職届(退職願)を提出するなどして行った退職の意思表示が「合意解約の申入れ」と評価される場合に、退職に関する承諾決定権のある役職者等に到達していない場合には、その承諾決定権のある役職者等に到達する「前」であれば労働者の意思で自由に退職の撤回ができるということになります。

(イ)就業規則等で退職の承認に何らかの手続きが必要とされている会社ではそれらの手続きがなされた時点で「使用者からの承諾があった」と判断される

(ア)で説明したように、過去の裁判例では退職の承諾決定権のある役職者等に到達した時点で「使用者の承諾があった」と判断されるのが通常ですが、就業規則などで退職の承諾に一定の手続きが要件とされている会社では、それらの手続きがなされた時点で「使用者からの承諾があった」と判断されるケースもあるようです。

たとえば、労働者から退職の意思表示を受けた場合に、会社内部で一定の決済手続きが必要と定められている会社では、退職届(退職願)などが退職の承諾決定権のある役職者等に到達しただけでは足りず、その会社で決められている決済手続きが終了し、それが退職を申し出た労働者に通知された時点で「使用者からの承諾があった」と判断されます(東邦大学事件:東京地裁昭和44年11月11日労判91号35頁)。

また、労働者から受けた退職の意思表示に対して会社から退職を承諾する辞令書の交付が退職承諾の要件とされている会社では、その辞令書が退職を申し出た労働者に交付された時点で「使用者からの承諾があった」と判断されることになります(ピー・アンド・ジー明石工場事件:大阪高裁平成16年3月30日)労判872号28頁)。

※以上は日本労働弁護団著「労働相談マニュアルVer7.223頁参照)

このように、労働者から受けた退職の意思表示に対して、会社側で何らかの手続きが退職の要件として規定されている場合は、その手続きが終了した時点で「会社の承諾があった」と判断されますので、そのような会社ではたとえ退職の承諾決定権のある役職者等に退職届(退職願)を提出し受理された場合であっても、その会社内部の手続きが終了するまでは労働者の方で一方的に退職の撤回をすることができるということになりますので注意が必要です。

退職金などは受け取らないようにすること

以上で説明したように、労働者が退職する場合は円満退社を念頭に退職の意思表示を行うのが一般的だと思われますので、そのほとんどは「合意解約の申入れ」として退職の撤回ができるものと考えて差し支えありません。

もっとも、退職の意思表示が「合意解約の申入れ」と判断でき撤回ができる場合であっても、会社から支給される退職金などは受け取らないように注意する必要があります。

もし仮に退職届(退職願)を提出した後に退職金を受け取ってしまうと、その退職金を受け取ったこと自体が退職の撤回権の放棄や会社側の退職承認を黙示的に認めたものと判断され、退職の撤回が認められない可能性も否定できないからです。

ですから、会社に退職の意思表示を行った後に退職の撤回を行おうとする場合において会社側から退職金など退職を前提とした何らかの給付があった場合は、その受領を拒否するのはもちろん、仮に受け取ってしまった場合は迅速に会社に返還するなど適切な対処を取る必要があるので注意してください。

なお、会社に返還しようとしても会社側が受け取らないような場合には法務局に供託するなど特別な対処も必要になりますので、そのようなケースでは早めに弁護士や司法書士に相談するなどした方がよいでしょう。

結論

以上をまとめると、以下のようになります。

【退職届(退職願)を撤回できるか?】
その提出した退職届(退職願)が「辞職」と評価される場合は撤回できないが、「合意解約の申入れ」と評価される場合には撤回することができる。
ただし退職の意思表示が「辞職」と評価される場合であっても騙されたり脅迫されたり錯誤によるものである場合は無効や取消の主張ができる。
【退職届(退職願)が「合意解約の申入れ」と評価されるのはどんな場合か?】
「使用者の同意を得なくても辞めるとの強い意志を有していた」場合を除き「合意解約の申入れ」と評価される。具体的には「退職届」「退職願」等の文言ではなく、その退職届(退職願)を提出するに至った経緯やその他の言動等を総合的に考慮して判断されるのが基本。
ただし、ほとんどの労働者は円満退社を望むので、会社側から「会社の同意を得なくても辞めるとの強い意志を有していた」という立証がなされない限り、ほとんどのケースでは「合意解約の申入れ」と評価されると思われる。
【いつまでなら撤回することができるか?】
提出した退職届(退職願)が「合意解約の申入れ」と評価される場合であれば、その提出した退職届(退職願)が、会社における退職の承諾決定権のある役職者等に到達するまでであれば会社の承諾がなくても退職の意思表示を撤回することができる。
ただし、会社の就業規則等で退職の承諾に会社内部での手続きが要件となっている会社では、その会社内部の手続きが終了するまでであれば、退職の承諾決定権のある役職者等に到達した後でも退職を撤回することができる。
【退職金などが支給されてしまった場合】
退職届(退職願)を提出するなどして退職の意思表示をした後に会社側から退職金など退職を前提とした給付が行われた場合は、それを受領してしまうと退職の撤回が困難になる場合が多いので極力受領しないようにすること。
仮に受領してしまった場合には速やかに会社に返還するか法務局に供託するなど対処が必要になるので早めに弁護士や司法書士に相談する方がよい。

退職の意思表示を撤回する方法

退職の意思表示を撤回する方法については法律で特に定められているわけではありませんので、口頭で「提出した退職届を撤回します」とか「昨日辞めるって言いましたけどやっぱり撤回します」などと告知するだけでも問題ありません。

しかし、口頭で撤回の告知を行ったとしても、後で争いになった場合に「言った、言わない」の水掛け論になってしまいますので、「退職届の撤回通知書」などを書面で作成して会社に提出するのが一般的です。

この場合に会社に提出する撤回通知書は以下のようなもので差し支えないと思います。

○○株式会社

代表取締役 ○○ ○○ 様

退職届の撤回通知書

私は、〇月〇日付け退職する旨記載した退職届を、〇月〇日付けで貴社に提出いたしましたが、再度熟慮した結果、引き続き貴社で就労を継続したいとの考えに至りましたので、当該退職届を撤回いたします。

以上

〇年〇月〇日

〇県〇市〇町〇丁目〇番〇号○○マンション〇号室

○○ ○○ ㊞

※「退職願」と表題した書面を提出していた場合は上記の「退職届」を「退職願」に置き換えてください。

会社が退職の撤回通知書を受け取らない場合

会社が退職届(退職願)の撤回通知書を受け取らない場合は、コピーを取ったうえで特定記録郵便など確実に「配達された」という証拠が残る郵送方法で会社に郵送するのも一つの対処法として有効です。

仮に後で退職の撤回を争う裁判に発展した場合には、「会社から退職に承諾が与えられる前に退職の撤回を申し入れた」ということを労働者の側が客観的な証拠を示して立証しなければなりませんので、確実に「配達された」という証拠を保存しておくことはとても重要になりますので証拠の確保は怠らないように注意する必要があります。

なお、確実に裁判に発展することが明らかな場合は内容証明郵便で送付しても構いませんが、その場合には事件を処理する弁護士や司法書士の方針もありますので、あらかじめ裁判を依頼する弁護士や司法書士に相談したうえで送付するか否か判断する方がよいと思います。

会社が退職届(退職願)の撤回に応じない場合

先ほど説明したように、いったん退職届(退職願)を提出するなどして退職の意思表示を行った場合であっても、その退職の意思表示が「合意解約の申入れ」と評価される場合で、かつ、その退職の意思表示に会社が「承諾を与える前」であれば、労働者の一方的な意思表示によって退職を撤回することができます。

そのため、そのような会社側の承諾がなされるまでは、先ほど挙げた退職の撤回通知書を送付するなどして退職の意思表示を撤回することが可能ですが、会社によってはそのような法律上の解釈を無視して退職の撤回を認めず、退職の撤回を申し入れた労働者に退職を強制するケースがあります(※たとえば正当な理由がないと撤回は認めないなどと言って退職させてしまうなど)。

そのような場合は、労働局に紛争解決援助の申し立てを行ったり、自治体や労働委員会の”あっせん”の手続きを利用したり、弁護士会や司法書士会が主催するADRを利用したり、それでも解決しない場合は弁護士や司法書士に依頼して裁判などで争う必要があります。

その場合の具体的な相談先はこちらのページでまとめていますので参考にしてください。

▶ 労働問題の解決に利用できる7つの相談場所とは

なお、会社が退職の撤回を認めない場合に労働基準監督署に相談して解決することができるかという点が問題となりますが、労働基準監督署は基本的に労働基準法に違反する使用者を監督する機関となり、会社が労働者の退職の撤回を認めないという行為は労働基準法に違反する行為にはあたりませんので、退職の撤回に関する問題については労働基準監督署では具体的な対処を取らないものと考えられます。

ですから、この問題に関しては『労働問題の解決に利用できる7つの相談場所とは』のページで紹介した相談先のうち、労働基準監督署以外の機関への相談を検討する方がよいでしょう。