授乳や育児のための30分休憩を請求して減給や降格された場合

(2)労働局の紛争解決援助または調停の手続きを利用する

生後満1年に達しない生児を養育する女性労働者が1日2回少なくとも各々30分の休憩時間を請求しまたは取得したことを理由として減給や降格あるいは配置転換など不利益な取り扱いを受けた場合には、労働局が主催する紛争解決援助または調停の手続きを利用してみるのも対処法の一つとして有効な場合があります。

前述したように、生後満1年に達しない生児を養育する女性労働者が生児を養育するための休憩時間を請求または取得した女性労働者に対して不利益な取り扱いをすることは雇用機会均等法第9条第3項で禁止されていますが、雇用機会均等法に違反する行為によって労使間に紛争が生じた場合には、当事者の一方から労働局に申請することで労働局の主催する紛争解決援助または調停の手続きを利用することが認められています。

雇用機会均等法第16条

第5条から第7条まで、第9条、第11条第1項、第11条の2第1項、第12条及び第13条第1項に定める事項についての労働者と事業主との間の紛争については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(中略)第4条、第5条及び第12条から第19条までの規定は適用せず、次条から第27条までに定めるところによる。

雇用機会均等法第17条

第1項 都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。
第2項 事業主は、労働者が前項の援助を求めたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

雇用機会均等法第18条

第1項 都道府県労働局長は、第16条に規定する紛争(労働者の募集及び採用についての紛争を除く。)について、当該紛争の当事者(中略)の双方又は一方から調停の申請があつた場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第6条第1項の紛争調整委員会(中略)に調停を行わせるものとする。
第2項 前条第2項の規定は、労働者が前項の申請をした場合について準用する。

この労働局の紛争解決援助または調停の手続きに法的な拘束力はありませんから会社側が手続きに応じない場合は解決は見込めませんが、会社側が手続きに応じる場合には、労働局から出される指導や勧告あるいは調停案に会社が従うことで、その違法な取り扱いが改善さることも期待できます。

そのため、このようなケースではとりあえず労働局に相談(申告)してみるというのも対処法の一つとして有効な場合があると考えられるのです。

なお、労働局の紛争解決援助の手続き等の利用については『労働局の紛争解決援助(助言・指導・あっせん)手続の利用手順』のページで詳しく解説していますのでそちらを参考にしてください(当該ページは個別労働関係紛争の解決に関する法律にかかる労働局の手続き利用を説明していますが、雇用機会均等法における労働局の手続きも同じ要領で利用可能です。細かいところは労働局に相談に行けば教えてもらえますので問題ありません)。

広告

生後満1年に達しない生児を養育する女性労働者が授乳や育児のための休憩時間を請求または取得して減給/降格/配転など不利益な取り扱いを受けた場合のその他の対処法

生後満1年に達しない生児を養育する女性労働者が生児を養育するための休憩時間を請求または取得したことを理由として不利益な取り扱いを受けた場合のこれら以外の対処法としては、各都道府県やその労働委員会が主催するあっせんの手続きを利用したり、弁護士会や司法書士会が主催するADRを利用したり、弁護士(または司法書士)に個別に相談・依頼して裁判や裁判所の調停手続きを利用する方法が考えられます。

なお、これらの解決手段については以下のページを参考にしてください。

労働問題の解決に利用できる7つの相談場所とは