(5)知的障害の場合
内部障害を持つ求職者に対する合理的な配慮として厚生労働省の指針は以下を挙げています。
- 面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること。
ですから、知的障害者が企業の採用面接にあたって支援機関の職員の同席を求めた場合において、企業側がその配慮をしない場合には違法性が問題になるケースがあると言えます。
(6)精神障害の場合
精神障害を持つ求職者の場合も指針は、知的障害者と同様に種労支援機関の職員等の同席を認めることを求めています。
- 面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること。
ですから、精神障害を持つ求職者が企業の採用面接にあたって支援機関の職員の同席を求めた場合において、企業側がその配慮をしない場合には違法性が問題になるケースがあると言えます。
(7)発達障害の場合
発達障害を持つ求職者に対する合理的な配慮として厚生労働省の指針は以下を挙げています。
- 面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること。
- 面接・採用試験について、文字によるやり取りや試験時間の延長を行うこと。
ですから、発達障害の特性を持つ求職者が企業の採用面接にあたって支援機関の職員の同席を求めたり、面接や採用試験において口頭ではなく文字によるやり取りを求めたような場合において、企業側がその配慮をしない場合には違法性が問題になるケースがあると言えます。
(8)難病に起因する障害の場合
難病に起因する障害を持つ求職者に対する合理的な配慮としては、厚生労働省の指針は以下を挙げています。
- 面接時間について、体調に配慮すること。
- 面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること。
ですから、難病を発症している求職者が、体調の関係で面接の時間帯の変更を求めたり、面接時に介護者等の同席を求めたにもかかわらず企業側がその配慮に同意しない場合には、違法性を指摘できるケースもあると言えます。
(9)高次脳機能障害の場合
高次脳機能障害を持つ求職者に対する合理的な配慮としては、厚生労働省の指針は以下を挙げています。
- 面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること。
ですから、高次脳機能障害を持つ求職者が面接を受けるにあたって介護者等の同席を求めたにもかかわらず企業側がそれを認めないケースがあれば、その企業に違法性を指摘できる余地が生まれることもあると思われます。
厚生労働省の指針が挙げている合理的配慮はあくまでも一例にすぎない
なお、先ほども述べたように、これらの合理的な配慮はあくまで厚生労働省の指針が挙げた例示列挙に過ぎませんので、上記の(1)~(9)で解説した配慮以外であっても、求職者の障害の特性によっては企業側に配慮が求められる事例ももちろん存在します。
あくまでも上記は例示的な列挙にすぎませんので、上で紹介した事例に含まれないから企業側に配慮を求めることができないんだ、などと短絡的に判断しないようにしてください。
障害の程度や個人あるいはその企業の事情等によっては、厚生労働省の指針が例示したもの以外の配慮が企業側に求められるケースもありますので、障害を持つ求職者がいる場合には、自分の障害の程度や必要となる配慮を具体的に説明して企業側の理解を求めていくことが必要になろうかと思われます。
もちろん、労働者を募集及び採用する企業の側においても、応募者に障害者が含まれることを認知した場合には、速やかに当該障害者と連絡を取って具体的にどのような配慮が必要とされるのか十分に確認することが求められると言えます。
採用選考で障害に配慮した必要な措置を取ってもらえない場合の対処法
なお、このように労働者を募集及び採用する企業には応募してきた障害者の障害に配慮した必要な措置を取ることが義務付けられますが、その義務に違反して必要な配慮をしてもらえなかった場合の対処法については『障害者が採用面接で障害に配慮してもらえない場合の対処法』のページで詳しく解説しています。