内定辞退はいつまでに?電話でもOK?その正しい方法とは

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就職希望先の企業から採用内定を受けた場合であっても、様々な理由から内定を辞退しなければならないケースもあるかもしれません。

そのような場合、内定先の企業に対して「内定の辞退」の意思表示を行う必要がありますが、その「内定の辞退」は具体的にどのような方法で、いつまでに行う必要があるのでしょうか?

ここでは、内定辞退の具体的な手順と方法について考えてみることにいたしましょう。

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「内定の辞退」に定められた方法や期限は存在しない

最初からこのページのタイトルを全否定するようで恐縮ですが、結論から言うと内定を辞退するのに定められた手順や方法などというものは存在しません。

なぜなら、「内定の辞退」は法的には「退職」と同様に扱われることになりますので、労働者の「退職」が「いつでも自由に」することが認められている以上、「内定の辞退」も「いつでも自由に」行うことができるのが当然の帰結となるからです。

(1)「採用内定」を受けた時点で労働契約が有効に成立する

「採用内定」が出されることによって内定者との間に具体的にどのような契約関係が生じるのか、すなわち「採用内定」が出された時点ですぐに内定先企業と内定者との間に労働契約(雇用契約)が成立するのか、それとも「採用内定」が出された時点では労働契約(雇用契約)は今だ成立しておらず入社予定日(※一般ていには翌年の4月1日)が到来することによってはじめて労働契約(雇用契約)が成立することになるのか、という点には解釈に争いがありますが、過去の最高裁の判例では「入社予定日を就労開始日とする始期付きの解約権留保付き労働契約」が生じるものになると解釈されています。

つまり、「採用内定」が出されても内定者に一定の不良行為(経歴詐称の発覚やその後の逮捕など)があれば企業側で一方的に内定を解除(解約)する「解約権」が「留保」されますが、「入社予定日」は単に「就労を開始する日」にすぎないので企業が「採用内定」を出した時点で内定者との間に有効に労働契約(雇用契約)が成立することになる、というのが最高裁の解釈する「採用内定」の本質的意味となるわけです。

(2)「内定の辞退」は「退職」と同じ

この最高裁の解釈に立てば、「採用内定」が出されることによって内定者に通知される「入社予定日」は単に「就労を開始する日」に過ぎず、その採用内定を受け取った時点ですでに内定先企業との間に労働契約(雇用契約)が成立していることになりますから、内定者が「採用内定」の通知を受け取った後、「入社予定日」が到来するまでであっても内定者はその内定先企業の従業員としての地位を有していることになりますので、その期間に「内定を辞退」するということは、労働者が「退職」するのと変わらないことになります。

したがって、内定者が入社予定日が到来するまでに、内定先企業との間で生じた採用内定に関する契約を解除するために行う「内定の辞退」についても、労働者が「退職」をする場合に関連してくる法律がそのまま適用されることになります。

(3)「内定の辞退」は民法627条1項に従えば足りる

この点、労働者の退職については民法627条1項で「いつでも」意思表示を行って使用者との労働契約(雇用契約)を一方的かつ無条件に解約することが認められていますから、「内定の辞退」を行う場合も内定者は「いつでも自由に」内定先企業に対して内定を辞退する旨の意思表示を行って契約関係を解消することができるということになります。

【民法第627条1項】
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

もっとも、労働者が会社を「退職」する場合は、退職を申し出られる会社が代わりの労働者を確保する必要性があるため民法627条1項では「2週間」の猶予期間が経過した後に労働契約(雇用契約)が解約されることにされていますが、「内定の辞退」の場合には入社予定日は未だ到来していませんので「2週間」の猶予期間を置くことによって内定先企業を保護する必要性は生じません。

したがって、内定者が「内定を辞退」する場合は、その内定辞退の意思表示を行った時点で内定先企業との契約関係は解消されることになるものと解されます。

(4)「内定の辞退」に定められた方法や期間は存在しない

以上のように、「内定の辞退」は「退職」と同じ扱いを受けることになること、「退職」が民法627条1項で規定されているようにいつでも自由に行うことができること、などを踏まえると、「内定の辞退」に具体的な方法や期間は定められていないということが言えます。

したがって、内定者が「内定を辞退」する場合には、口頭で行っても書面で行っても問題ありあませんし、入社予定日が到来するまでの期間であれば「いつでも自由に」行うことができるということになります。

なお、「入社予定日」が到来した「後」は、単に「退職」の問題として処理されることになりますので、「入社予定日」が到来した「後」にその企業との関係を解消したい場合には、通常通り「退職届(退職願)」を退職希望日の2週間前までに提出するか口頭でその意思表示を行い「退職」することになります。

「内定の辞退」の意思表示は「口頭」でも差し支えないが「書面」による方が無難

以上で説明したように、「内定の辞退」は「退職」と同じ扱いを受け民法627条1項の問題となりますから、その方法や期限に定められた要件等は存在しません。

したがって、内定を辞退したい場合には、内定先の企業の担当者に電話等による口頭で「辞退します」と告知するだけでも有効ですし、入社予定日が到来するまでの期間(※一般的な入社予定日は4月1日なので3月31日まで)であればいつでも自由にその意思表示を行うことが可能ということになるでしょう。

もっとも、ブラック体質のある企業などは口頭で内定辞退の告知をしても、後になって「聞いていない」と主張し入社予定日からの就労を強要してくる場合も多くありますから、不要な争いを避けたい場合は客観的証拠が残る「書面」の形で意思表示しておく方が無難かと思います。

なお、内定辞退の意思表示を書面で行う場合は「内定辞退申入書」等の表題で書面を作成し内定先企業に送付する方法が採られますが、内定先企業に対して確実に「意思表示を行った」という客観的証拠が残されるように、コピーを取ったうえで普通郵便ではなく特例記録郵便などの方法で送付するようにしましょう。

ちなみに、その場合に送付する「内定辞退申入書」の記載例としては以下のような文面で差し支えありません。


○○株式会社

代表取締役 ○○ ○○ 殿

内定辞退申入書

私は、〇年〇月〇日、同年△月△日付け採用内定通知書の送付を受ける方法によって貴社から採用内定の通知を受けましたが、都合により当該採用内定を辞退いたします。

以上

◇年◇月◇日

〇県〇市〇町〇丁目〇番〇号○○マンション〇号室

○○ ○○ ㊞


先ほど説明したように「内定の辞退」は「退職」と同じ扱いになり民法627条1項で「退職の意思表示」に理由の有無は要件とされていませんから、「内定を辞退」するための意思表示にも「内定を辞退するに至った理由」などを記載する必要は一切ありません。ですから、上記のように単に「都合により内定を辞退します」の一文で問題ありませんし、「都合により…」という文言すら削除しても構わないと思います。

ただし、内定先企業のことも考えてなるべく早めに意思表示を行うべき

先ほど述べたように、民法627条1項で「退職」の期限が定められていない以上「内定の辞退」にも期限は定められていませんから、入社予定日が到来するまでの機関であれば「いつでも」自由に内定辞退の意思表示ができるということになります。

具体的には、一般企業の入社予定日は4月1日とされていますので、3月31日の24時までであれば内定辞退の意思表示は法律上も契約上も何の問題もなく行うことができるということになります。

もっとも、内定の辞退を受ける企業としては、内定者が入社予定日から就労するものと想定して入社準備や入社後の教育訓練等を計画しているのが普通ですから、内定先企業の受ける不利益を考えれば早めに告知してあげるに越したことはありません。

ですから、採用内定を受けた後に内定を辞退することを決意した場合には、なるべく早く内定先企業の採用担当者に連絡し、一日でも早く先ほど挙げたような内定辞退申入書を送付して内定を辞退する旨の意思表示をするべきと言えるでしょう。