会社を辞めて7日以内に退職日までの給料を支払ってもらう方法

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会社を退職した場合に意外と気になるのが、最後の給料がいつ支払われるかという点です。

会社との間で何らかのトラブルが発生したことを理由に退職するような場合にはそれがより顕著になり、会社が嫌がらせで給料の支払いを止めてしまうのではないか、と心配になる人は意外に多いように思います。

では、労働者が仕事を退職した場合、その最後の給料はいつまでに支払われるものなのでしょうか?

また、退職してすぐに最後の給料を受け取りたい場合に、何か良い方法はないのでしょうか?

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退職した場合でも給料は通常の給料日に支払われるのが原則

このように、会社を辞めた場合には最後の給料がいつ支払われるのかという点が気になることが多いのですが、基本的にはたとえ会社を辞めた場合であっても通常どおりいつもの給料日に支払われることになります。

たとえば、賃金の支払い期日が「毎月月末締めの翌月25日払い」と定められている会社では毎月25日が給料日となりますので、その会社を9月30日付けで退職する場合には、最後の給料は10月25日(※ただし10月25日が土日祝の場合はそれ以後最初の銀行営業日)に振り込まれることになるでしょう。

退職した場合であっても、給料の支払い日については在職中に会社との間で合意した期日で変更されることはありませんので、従前の給料日まで待たなければ最後の給料は支給されないのです。

会社の合意があれば最後の給料を退職日に受け取ることも可能

もっとも、会社との間で特に合意した場合には、給料日まで待たなくても最後の給料を受け取ることは可能です。

たとえば先ほどの例で、賃金の支払い期日が「毎月月末締めの翌月25日払い」と定められている会社を9月末日付で退職する際に、あらかじめ会社に「9月末日で退職するのでその最後の出勤日に最後の給料を支給してください」とか「9月末日で退職するのでその翌日に最後の給料を振り込んでもらえませんか」と打診して会社側が了承すれば、給料日まで待たなくてもその希望する日付けで最後の給料を受け取ることは可能でしょう。

給料日はあくまでも労働者と使用者(雇い主)との間で合意した賃金の支払い期日にすぎませんので、会社が了承するのであれば、給料日まで待たなくても支払いを受けることはできるわけです。

退職日から7日以内に受け取りたい場合

このように、会社が特に同意してくれた場合には給料日を待たなくても最後の給料を受け取ることは可能ですが、会社側がそれに同意してくれない場合は原則どおり通常の給料日まで待たなければなりませんので、会社側が給料日前の最後の給料の支払いに同意してくれない場合の対処法が問題となります。

この場合、一番使えるのが、労働基準法第23条で規定された「金品の返還」に関する規定です。

労働基準法の23条では以下のように、労働者が退職した場合における使用者(雇い主)の金品返還義務が規定されています。

【労働基準法23条】

第1項 使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。
第2項 前項の賃金又は金品に関して争がある場合においては、使用者は、異議のない部分を、同項の期間中に支払い、又は返還しなければならない。

これは、労働者が在職中に会社に預けておいた金品を使用者(雇い主)が労働者の退職にあたって返還せずにトラブルが生じることがあるため、使用者(雇い主)にその返還を特に義務付ける趣旨で定められた規定です。

この労働基準法23条では、「賃金」についても支払い義務が定められていますので、退職する労働者が退職する際に特に求めた場合には、会社はその労働者にかかる給料の未払い分を退職日から7日が経過するまでに労働者に全額支払わなければなりません。

たとえば先ほど挙げたような賃金の支払い期日が「毎月月末締めの翌月25日払い」と定められている会社を9月末日付で退職する場合に、あらかじめ会社に「9月末日で退職するのでその退職日から7日以内に残りの給料を全額支払ってください」と告知しておけば、会社はそれに従って10月7日までに残りの給料を全額支払わなければならないことになるわけです。

この点、会社がそれに従わないことも考えられますが、この労働基準法23条の規定には罰金30万円以下という罰則も設けられていますので、常識的な会社である限り従うのが普通です。

【労働基準法120条】

次の各号の一に該当する者は、30万円以下の罰金に処する。

第1号 (省略)第23条から27条まで(省略)の規定に違反した者(以下省略)

ですから、退職日から7日以内にどうしても最後の給料を受け取りたいという場合には、この労働基準法23条の規定を使って会社に給料の支払いを求めてみるというのも有効ではないかと思います。

会社が労働基準法23条の規定による支払いに応じない場合の対処法

このように、労働基準法の23条では退職を申し出た労働者が請求した場合に使用者(雇い主)に労働者の金品の返還を義務付ける規定を置いていますので、退職する際に会社に申し出ておけば、その後の給料日まで待たなくても退職日から7日以内に残りの給料の全額を受け取ることは可能です。

もっとも、全ての会社の経営者や上司がこの規定を認識していているとは限りませんし(※もちろん本来は認識しておくべきですが)、ブラック企業など法令遵守意識の低い会社ではこのような規定を無視して7日以内の支払いに応じないケースもありますので、その場合の対処法が問題となります。

(1)退職日から7日以内の給料の支払いを求める通知書を送付する

会社が労働基準法23条の規定に従った退職日から7日以内の給料の支払いに応じない場合には、まず7日以内の給料の支払いを求める申入書等を作成し、会社に送付することを考えたほうがよいと思います。

もちろん、最初は口頭で「退職日から7日以内に残りの給料を全額支払ってください」と申告することも必要ですが、そう頼んでも応じない会社の経営者や上司に口頭でいくら頼んでも従うとは思えませんし、仮に後で何らかの労働トラブルに巻き込まれ裁判になったような場合には、「会社に労働基準法23条の規定を説明しても応じてもらえなかった」という点を証拠を提示して立証することも必要になる場合がありますので、有体物として証拠を残すことのできる「書面」という形で申入れしておいた方がよいでしょう。

送付した書面をコピーして保存し、特例記録郵便など送付記録の残る郵送方法で通知しておけば、後でそのコピーと送付記録を添付することで客観的証拠を提示し立証できるようになりますので口頭だけでなく書面という形でも申入れしておいた方がよいと思います。

なお、その場合に送付する書面の文面は以下のようなもので差し支えないと思います。

株式会社○○

代表取締役 ○○ ○○ 殿

労働基準法23条に基づく賃金の支払い申入書

私は、〇年〇月〇日、貴社に対して、同年〇月末日をもって退職する旨記載した退職届を提出する方法により退職の意思表示を行いました。

この退職届の提出に際し、私は、退職日までに発生する賃金を退職日から7日以内にお支払いいただくよう貴社に対して再三にわたって口頭でお願いしておりますが、未だ貴社からはそれに応じる旨の回答をいただいておりません。

しかしながら、労働基準法23条では、退職する労働者が請求した場合には、使用者は7日以内に賃金を支払わなければならないことが明確に規定されていますので、私が退職日までに発生する賃金を退職日から7日以内に支払うよう請求している以上、貴社はそれに応じなければならない雇用契約上および法律上の義務があるといえます。

したがって、貴社が、退職日までに発生する私の賃金について、退職日から7日以内の支払いを拒絶している状況は雇用契約及び法律に違反するものと言えますから、退職日から7日以内に、全ての賃金の支払いを行うよう本状をもって改めて申し入れいたします。

以上

〇年〇月〇日

〇県〇市〇町〇丁目〇番〇号○○マンション〇号室

○○ ○○ ㊞

※なお、実際に送付する際は客観的証拠として保存しておくためコピーを取ったうえで、会社に送付されたという記録が残るよう普通郵便ではなく特定記録郵便などを利用するようにしてください。

(2)労働基準監督署に労働基準法違反の申告をする

(1)の申入書等を送付しても会社が退職日から7日以内の給料の支払いに応じない場合は、労働基準監督署に労働基準法違反の申告を行うというのも対処方法の一つとして有効です。

先ほども説明したように、退職する労働者が退職後7日以内に残りの給料の全額を支払うよう求めた場合に使用者(雇い主)がそれに応じなければならないことは労働基準法23条に明確に定められていますので、それに応じない会社(個人事業主も含む)は「労働基準法違反」ということになりますが、使用者が労働基準法に違反している場合には労働者は労働基準監督署に労働基準法違反の申告を行うことが認められています(労働基準法104条1項)。

【労働基準法第104条1項】
事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。

この点、仮に労働者が労働基準監督署に労働基準法違反の申告を行い、監督署が監督権限を行使して是正勧告や指導を行えば、会社がその違反状態を改めて退職後7日以内の給料の支払いに応じることも期待できますので、監督署に違法行為の申告をするというのも解決手段の一つとして有効に機能するものと考えられます。

なお、その場合に労働基準監督署に提出する申告書の記載例は以下のようなもので差し支えないと思います。

労働基準法違反に関する申告書

(労働基準法第104条1項に基づく)

○年〇月〇日

○○ 労働基準監督署長 殿

申告者
郵便〒:***-****
住 所:東京都〇〇区○○一丁目〇番〇号○○マンション〇号室
氏 名:申告 太郎
電 話:080-****-****

違反者
郵便〒:***-****
所在地:東京都〇区〇丁目〇番〇号
名 称:株式会社○○
代表者:代表取締役 ○○ ○○
電 話:03-****-****

申告者と違反者の関係
入社日:〇年〇月〇日
契 約:期間の定めのない雇用契約←注1
役 職:特になし
職 種:一般事務

労働基準法第104条1項に基づく申告
申告者は、違反者における下記労働基準法等に違反する行為につき、適切な調査及び監督権限の行使を求めます。

関係する労働基準法等の条項等
労働基準法23条

違反者が労働基準法等に違反する具体的な事実等
・申告者は、〇年〇月末日をもって退職する旨記載した同年〇月〇日付の退職届を提出する方法をもって退職する旨の意思表示するとともに、当該退職届に記載した退職日から7日以内に退職日までに発生する賃金全額を支払うよう求めたが、退職日から7日以上経過した現在に至っても違反者はそれに応じようとしない。

添付書類等

・退職届(退職願)の写し 1通←※注2
・労働基準法23条に基づく賃金の支払い申入書 1通←※注2

備考
特になし。

以上

※注1:アルバイトやパート契約社員など「期間の定めのある雇用契約」の場合は「期間の定めのある雇用契約(アルバイト)」と記載してください。

※注2:添付書類は必ずしも添付が必要なものではありませんのでなければ削除しても構いません。

(3)その他の対処法

上記(1)(2)の方法を用いても解決しない場合は、労働局の紛争解決援助の申し立てを行ったり、労働委員会の主催する”あっせん”の手続きを利用したり、弁護士や司法書士に相談して裁判所の裁判手続などを利用して解決する必要がありますが、それらの方法については以下のページを参考にしてください。

労働問題の解決に利用できる7つの相談場所とは