給料日が来る前に会社から給料を支払ってもらう3つの方法

給料日が到来する前に給料を使い果たしてしまう計画性のない人は少なからずいると思います。

そのような場合、給料日までどのようにして生活するかという点が問題となりますが、給料日前に会社から賃金の支払いを受けることが絶対にできないというわけでもありません。

以下に挙げる3つの方法のいずれかを用いれば、給料日が到来する前であっても会社から給料の支払いを受けることは可能といえます。

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(1)給料の前借をする

一番手っ取り早いのは、会社の経営者や上司に相談して「給料の前借」をすることです。

「給料の前借」とは、給料日が到来する前にその到来する給料日に支給されるであろう給料を支払ってもらう行為をいいます。

たとえば就業規則で賃金の支払い期日が「毎月月末締めの翌月25日払い」と定められている会社で9月10日に「給料の前借」をした場合は、本来であれば9月25日に支払われるはずの9月分の給料(8月に働いた分の給料)を9月25日を待たずに9月10日に受け取ることができます。

もっとも、この「給料の前借」は使用者(雇い主)の同意があって初めて可能になりますので、会社側が「給料の前借」に応じない場合は利用することができません。

ですから、あくまでも会社の承諾が得られる場合しか「給料の前借」はできない点少々使い勝手が悪いと言えます。

(2)非常時払として請求する

「給料の前借」以外の方法として「非常時払」の制度を利用するという手もあります。

賃金の「非常時払」とは、「労働者本人」または「その労働者の収入で生計を維持する者」に「出産」「疾病」「災害」「結婚」「脂肪」「やむを得ない事由による帰郷」が生じた場合に、特別に労働者が使用者(雇い主)に対して「既往の労働に対する賃金」の支払いが認められる制度で労働基準法25条にその規定が置かれています。

この「非常時払」の制度は労働基準法上の権利となりますので、「給料の前借」の場合とは異なり、会社側の承諾の有無にかかわらず、給料の給料日前の支払いを請求することが可能です。

ただし、あくまでも「非常時払」ですから、「労働者本人」または「その労働者の収入で生計を維持する者」に「出産」「疾病」「災害」「結婚」「脂肪」「やむを得ない事由による帰郷」という6つのうちの一つの事由が生じない限り、その請求は認められません。

もっとも、「出産」「疾病」「災害」「結婚」「脂肪」「やむを得ない事由による帰郷」のどれか一つでも生じれば無条件に請求できるわけですから、その6つの事情のうち該当する事由がある場合には、この「非常時払」の請求をしてみるのもよいと思います。

なお「非常時払」の利用方法については『給料を前借せず給料日前に支払ってもらえる非常時払6つの具体例』のページで詳しく解説しています。

(3)会社を辞めてしまう

どうしても給料日が待てないという場合は、最終手段として会社を辞めてしまうという方法もあります。

「辞めたって給料日が到来するまで給料の支給は受けられないじゃないか!」と思うかもしれませんが、そうではありません。

仕事を辞めた場合において労働者が請求した場合には、会社はその請求があった日から7日以内にその退職した労働者の賃金を全額支払わなければならないからです。

【労働基準法23条】

第1項 使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。
第2項 前項の賃金又は金品に関して争がある場合においては、使用者は、異議のない部分を、同項の期間中に支払い、又は返還しなければならない。

会社を退職し、その退職する際に「退職してから7日以内に給料の全額を支払ってください」と申告しておけば、会社は退職日から7日以内にその残りの給料全額を支払わなければならず、それを支払わない場合は労働基準法違反となります。

たとえば、就業規則で賃金の支払い期日が「毎月月末締めの翌月25日払い」と定められている会社で9月14日までに「9月末日をもって退職いたします」と記載した退職届(退職願)を提出した場合は、9月30日付で退職することができますが、9月分の給料の支払い日は10月25日となりますので通常は9月末で退職しても10月25日まで待たなければ9月分の給料は支給されません。

しかし、この場合に9月30日までに「9月分の給料は退職後7日以内に支払ってください」と会社に申告しておけば、10月7日までに9月分の給料の支払いを受けることができるということになります。

なおこの退職日から7日以内の賃金の支払いについては『会社を辞めて7日以内に退職日までの給料を支払ってもらう方法』のページで詳しく解説しています。

もっとも、この場合は会社を辞めることになり、その後の収入の道が閉ざされることになりますので、現実的には(1)か(2)の方法で対処するしかないのではないか、と思います。